英Columbia。スパイラル。1950年代中半から後半のプレスだろう。

イギリス人指揮者、ジョージ・ウェルドンのポピュラーコンサート。イギリス人指揮者の中でもかなり勢いのある強めの音を好む。そして構成が四角く、リズムが鋭い感じか。曲が合えばなかなかの名演が残されているのでもう少し注目されてよいかも。

どれも同じ作曲家のような統一感のある音色やバランス感覚。ウェルドンの一面が聴ける。解説は本人がしている。

推薦度:★★★☆☆☆☆ ウェルドンファン用か
秘蔵度:★★★★★☆☆ ここでも強面で面白い

スッペ 軽騎兵序曲 (Suppe Leichte Kavallerie Overture)

指揮:ジョージ・ウェルドン フィルハーモニアO (Cond: G.Weldon, PO)

推薦度:★★★☆☆☆☆ ウェルドンファン用か
秘蔵度:★★★★★☆☆ ここでも強面で面白い

カーっと明るい音。なぜか最初のトランペットはファンファーレの最後で音量を落とす。あれれ?という感じ。その後も何か所かある。全体的には音自体は硬め、響きは明るめ、そしてリズム感は生き生きとしたノリノリ。イギリスの指揮者は生真面目で四角四面というイメージがあるが、結構雑で楽しい演奏になっている。

チャイコフスキー 眠りの森の美女~ワルツ (Tchaikovsky The Sleeping Beauty~Waltz)

指揮:ジョージ・ウェルドン フィルハーモニアO (Cond: G.Weldon, PO)

推薦度:★★★☆☆☆☆ ウェルドンファン用か
秘蔵度:★★★★★☆☆ ここでも強面で面白い

こちらもからっとした音色で勢いのある強い音で攻めてくる。そのためチャイコフスキーのバレエ音楽という感じが全くしないのも面白いところ。

マスカーニ カヴァレリア・ルスティカーナ~間奏曲 (Mascagni Cavalleria rusticana~Intermezzo)

指揮:ジョージ・ウェルドン フィルハーモニアO (Cond: G.Weldon, PO)

推薦度:★★★☆☆☆☆ ウェルドンファン用か
秘蔵度:★★★★★☆☆ ここでも強面で面白い

幻想的に演奏されることが多いこの曲を、なんとも強い音で現世というか真昼間のメロドラマのような音。これはこれで面白い。デリカシーがない、と怒る人も出てきそうだが。下の音だと伝わりにくいが、1分25秒あたりの入りがいきなりフォルテでいきなり強い音で出てくる感じが凄い

バッハ 羊は安らかに草を食わん ウォルトン編 (J.S.Bach Sheep May Safely Graze Arr. Walton)

指揮:ジョージ・ウェルドン フィルハーモニアO (Cond: G.Weldon, PO)

推薦度:★★★☆☆☆☆ ウェルドンファン用か
秘蔵度:★★★★★☆☆ ここでも強面で面白い

さりげないヴァイオリンソロで始まる編曲もの。パリキアンだろうか?中々うまい。ザ・コンサートマスターという感じでオケの音色と同じソロ。他のパートも穏やかに音楽を楽しんでいるが、いまいちバッハらしくなく、ウェルドンの演奏という感じが前面に出てくるのは、このアルバムの特徴でもある。オーボエのソロもヴァイオリンと同一傾向でうまい。

リスト ハンガリー狂詩曲第2番 (Listz Hungarian Rhapsody No.2)

指揮:ジョージ・ウェルドン フィルハーモニアO (Cond: G.Weldon, PO)

推薦度:★★★☆☆☆☆ ウェルドンファン用か
秘蔵度:★★★★★☆☆ ここでも強面で面白い

意外と細部はいい加減だが、攻める音、ゆったりとしたテンポで強い音楽。クラリネットの自由なソロ、妙に拍の頭に音をはみ出させてみる木管。色々工夫しているが民族色というものは全く感じられないのも不思議。アレグロに入ってからはカラットしたバカ騒ぎで楽しく締めくくる。

オッフェンバック 天国と地獄~序曲 (Offenbach Orphee aux Enfers Overture)

指揮:ジョージ・ウェルドン フィルハーモニアO (Cond:. G.Weldon, PO)

推薦度:★★★☆☆☆☆ ウェルドンファン用か
秘蔵度:★★★★★☆☆ ここでも強面で面白い

あまりなめらかではなくごつごつした感じ。録音のせいもありそうだが。ここでもパリキアン化、ヴァイオリンソロは程よい主張で滑らかでうまい。ただ運動会で有名な第3部は、意外と制御した盛り上がりできっちりかっちりしているため、もう少し吹っ切れてほしいという気持ちになる。

イッポリトフ=イワーノフ 酋長の行列 (Ippolitov-Ivanov Procession of the Sardar)

指揮:ジョージ・ウェルドン フィルハーモニアO (Cond: G.Weldon, PO)

推薦度:★★★☆☆☆☆ ウェルドンファン用か
秘蔵度:★★★★★☆☆ ここでも強面で面白い

オーボエとクラリネットが音符を面白く鳴らしてみたりするもこの曲でも民族色はほとんど出てこない。これがウェルドン流。盛り上がる最後のほうで音にひずみがあるのは盤のせいではなく録音のせいではないだろうか。少々残念だがここまで無国籍を突き進む演奏もこの曲では珍しい。