米ウェストミンスター盤。1950年後半のプレスだろうか。溝ラベル。オケ名は、フィルハーモニック・シンフォニー・オブ・ロンドンとあるが最近のCDに習い、ロイヤルPOとしておく。
推薦度:★★★☆☆☆☆ 愛想のない演奏でとっつきにくいかも
秘蔵度:★★★★☆☆☆ ラインスドルフのマッドサイエンティストぶりが凄い
モーツァルト 交響曲第29番
エーリヒ・ラインスドルフ指揮 ロイヤルPO
推薦度:★★☆☆☆☆☆ さすがに硬すぎるか。それが狙いかもしれないが
秘蔵度:★★☆☆☆☆☆ 硬め硬めでカクカク
オケのメンバーはどんな顔して従っていたのだろうか。厳しく音の長さや響きを制限させられていたような感じ。これは録音にもよるとは思う。残響がなく多少聞きづらいが感情を排した音符そのものを組み立てたような、そして勢いもありせわしない演奏。もう少し音に潤いが欲しい。
モーツァルト 交響曲第30番
エーリヒ・ラインスドルフ指揮 ロイヤルPO
推薦度:★★★☆☆☆☆ これも硬いのが残念
秘蔵度:★★★★☆☆☆ 曲としてはマイナーだが、真っ向勝負
乱暴なくらいに切り込みが凄い。緩楽章でも音の立ち上がり立下りが垂直というイメージ。そのためかなりガツッとくる。これこそオケのメンバーがどういう顔して演奏していたか見てみたい。かなりある方向に皆向いていて一目散。こうした演奏は珍しい。面白くないと切り捨てるにはもったいない。ベームやらクリップスやらレヴァインやら現代の古楽器スタイル、そればかりがモーツァルトではない。なんて言いすぎか・・・。
モーツァルト 交響曲第31番
エーリヒ・ラインスドルフ指揮 ロイヤルPO
推薦度:★★★☆☆☆☆ 硬い録音が足を引っ張る
秘蔵度:★★★★☆☆☆ 弦の硬さに加え、木管の変な響きが面白くもある。
激しく短く刻むリズム感、しかも硬いので攻撃的に聞こえる。かなりオケは本気に音を鳴らしているがきれいな音ではない。むしろきれいな音よりすべての音価に関してメトロームが個々にあってそれを正確に刻むことをわき目も振らずにやっている感じ。まず現代では聞けない演奏で逆に面白いのではないだろうか。
モーツァルト 交響曲第32番
エーリヒ・ラインスドルフ指揮 ロイヤルPO
推薦度:★★★☆☆☆☆ 軍隊調の行進曲のような演奏
秘蔵度:★★★★☆☆☆ このカクカクした感じが妙に曲に合う
音価をしっかり区切りすぎるくらいカチッとさせている。意外と近年の古楽器の演奏に通じるような解釈ともいえるのでは。ティンパニのぼこぼこした感じもなんだか面白い。ただ音がデッドなので全体的には古風な感じがしてしまう。
両端のアレグロでの、潔いくらい感情を排し、切り込み硬く弾むリズムが極端で、間のアンダンテは特に何もしていない印象だが、その差が大きく、結果、対比がうまく録れているところが面白い。