日コロンビア。1970年代中頃のプレスだろう。
藤原浜雄と三上桂子の夫婦による名演奏。ジャケットの裏に、贈呈という文字と藤原浜雄母と書かれている。これは、藤原浜雄さんの母のレコードだろうか、それとも母が誰かに贈呈したレコードだろうか。なんとなく持っていていいのかなあと思ってしまう。

推薦度:★★★★☆☆☆ ハイレベルな安定感のある演奏
秘蔵度:★★★★★★☆ 若かりし頃の藤原浜雄の貴重な録音

タルティーニ ヴァイオリンソナタ「悪魔のトリル」 (Tartini Devils Sonata)

Vn:藤原浜雄、Cemb:三上桂子 (Vn: H.Fujiwara, Cemb: K.Mikami)

推薦度:★★★★☆☆☆ 音がはっきりしていて透明度がありすぎるくらいきれい
秘蔵度:★★★★★☆☆ 技巧は申し分ない。音も非常にきれい

早目のテンポで淡々と進めるが音色は透明度が高くきれい。多少ポルタメントを使うものの、ロマンティックになりすぎず、客観的にとらえた演奏になっている。技巧には無理がなく、安定感もあり曲の盛り上げ方など細やかな気遣いもあり安心して聴ける。多少薄味だが好演奏だと思う。

第1楽章
第3楽章

コレルリ ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタOp.5-12「ラ・フォリア」 (Corelli La Folia)

Vn:藤原浜雄、Cemb:三上桂子 (Vn: H.Fujiwara, Cemb: K.Mikami)

推薦度:★★★★★★☆ 無色透明
秘蔵度:★★★★★★☆ スケールも大きく若々しい名演

クライスラー編ということで一部省略もあるがスケールが大きな、そしてかっこいいロマンティックな演奏。音色は無色透明。楽器そのものの響きをうまく出している。録音がそもそもあまり少ない名手の貴重な若いころの名演奏。

ロカテルリ ヴァイオリンソナタト短調 (Locatelli Violin Sonata in G Minor)

Vn:藤原浜雄、Cemb:三上桂子 (Vn: H.Fujiwara, Cemb: K.Mikami)

推薦度:★★★★★☆☆ 真っすぐに演奏していてわかりやすい
秘蔵度:★★★★★☆☆ きれいな音だが芯がしっかりしている

若々しく姿勢が正しい。硬さはなく、のびのびとしている。あまり情に溺れず誠実に弾き、聴き手にわかりやすく伝えてくれる。

ヴェラチーニ ヴァイオリンソナタ ロ短調 (Veracini Violin Sonata in B Minor)

Vn:藤原浜雄、Cemb:三上桂子 (Vn: H.Fujiwara, Cemb: K.Mikami)

推薦度:★★★★☆☆☆ ここでも安定した技巧だが味が薄いか
秘蔵度:★★★★★☆☆ 音が透き通る

旋律の扱いが丁寧で穏やか。威圧することなく寄り添うような印象。現代のバロック演奏に比べるとロマンティックだが、変な色付けがなく色あせることのない演奏スタイル。聞いていて落ち着くのが一番よい。