フランチェスカッティ バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番、第3番

米コロンビア盤。1950年代中頃のプレスと思われる。

全曲の録音を残さなかったこと、そもそも日本に来日しなかったことからいまいち人気が上がらないフランチェスカッティのバッハ。サラサーテの音楽を奏でるような技巧をちらつかせつつ歌心を織り交ぜた、日本人がよく言うバッハ像とは全く違うものがここにはある。

推薦度:★★★★☆☆☆ 少しバッハらしくないところはある
秘蔵度:★★★★★★☆ ロマンティックで風格ある演奏

バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番

ジノ・フランチェスカッティ(vn)

推薦度:★★★★☆☆☆ 少しバッハらしくないところはある
秘蔵度:★★★★★★☆ ロマンティックで風格ある演奏

全体的に快速に進めるもかなりロマンティックに歌う。音自体はとても強く鳴らしているがきつい音が一切なく、どの音も淡色ながら底光りするような感じ。繰り返しはしていない部分が多く、そのためか、かなり早く最後まで一気に終わる感じ。特にシャコンヌはこれほどヴィブラートをかけつつ歌う演奏も珍しい。速いパッセージではさすがの技巧でさらっと弾き、ゆったりしたところでは時に微妙にポルタメントもかけつつ、自由自在にスケールの大きな世界を作り上げている。日本人のバッハ好みではないだろうが、私はかなり気に入った。バッハっぽくないバッハもよいものだと。

バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番

ジノ・フランチェスカッティ(vn)

推薦度:★★★★☆☆☆ 少しバッハらしくないところはある
秘蔵度:★★★★★★☆ ロマンティックで風格ある演奏

明るく強い音だがどことなく影があるのが特徴。技巧が素晴らしいのはいつものことで、それにプラスして音色の妙だったり甘い歌い口だったりと中々自由自在に演奏している。パガニーニかサラサーテの曲のようにも聞こえてくる。かなり大柄な風格があり、ハイフェッツ、ミルシテインとともにアメリカの一時代を築いた大ヴァイオリニストのバッハが聴けるのはうれしい限り。全曲を残さなかったのは残念。ちょうど両者の真ん中を行くようなバッハになったであろう。